消火器の基本知識

2025.08.04 気づき

〜消防設備点検のプロが解説〜

火災を初期段階で食い止めるために欠かせないのが「消火器」です。消防法においても建物用途や規模に応じて設置が義務づけられ、一般家庭にも広く普及しています。しかし、現場で点検を行うと「設置はしているが正しい使い方を知らない」「使用期限切れのまま放置されている」といったケースが少なくありません。

この記事では、消火器の種類や仕組み、適切な使用方法、点検や交換の基準などを整理し、消防設備点検のプロの視点から解説します。


1. 消火器の役割と重要性

火災は発生直後の数分間が勝負です。延焼が拡大する前に火源を押さえ込む「初期消火」ができるか否かで被害規模は大きく変わります。

このうち「消火」を担うのが消火器です。消防車が到着するまでの時間(平均約8分)を考えると、消火器が設置されているかどうかは建物の安全性を左右します。


2. 消火器の種類と適応火災

消火器は「どのような火災に対応できるか」で分類されます。

(1) 普通火災用(A火災対応)

(2) 油火災用(B火災対応)

(3) 電気火災用(C火災対応)

(4) 油脂火災用(K火災対応)


3. 消火器の構造と仕組み

一般的な消火器は次のような部品で構成されています。


4. 消火器の正しい使い方

消火器の基本動作は 「ピ・ノ・キ・オ」 と覚えると分かりやすいです。

  1. ンを抜く(安全ピンを外す)
  2. ズルを火元に向ける
  3. ョリを取る(約3mが目安)
  4. ス(レバーを強く握る)

ポイントは「炎の根元を狙う」ことです。炎の先端に薬剤をかけても効果は薄いため、燃焼物そのものに的確に放射します。


5. 消火器の設置基準

消防法に基づく設置基準は以下の通りです。

また、家庭用消火器は法的義務はありませんが、キッチンやガレージなど火気使用場所に設置することが推奨されます。


6. 消火器の点検と交換

(1) 使用期限

(2) 点検内容

点検は 6ヶ月ごとに外観点検、1年ごとに機能点検 が義務付けられており、専門業者による年次報告も必要です。


7. 消火器の廃棄方法

古い消火器をそのまま放置するのは危険です。腐食や内部圧力の残存により破裂事故につながる可能性があります。

廃棄は以下の方法で行います。


8. よくある誤解と注意点


まとめ

消火器は火災予防において最も身近で効果的な消防設備ですが、種類や仕組み、正しい使い方を理解していなければ十分な効果を発揮できません。

これらを徹底することで、初期消火の成功率は格段に高まります。私たち消防設備点検業者は、定期点検を通じて皆さまの安全を守ると同時に、正しい知識の普及にも努めています。

火災は「備え」があるかどうかで大きな差が生まれます。ぜひこの記事をきっかけに、ご家庭や職場の消火器を見直してみてください。

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